2016年02月01日

はじめまして!ちょうちんぶるまーず

『銭湯で何もしてませんとう』の巻


三池さんちの らんちゃんと ゼロちゃんは 三毛猫姉妹。 看板屋の猫ちゃんです。

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今日は お父さんでもある親方と一緒に 近所の銭湯にやって来ました。

親方は 富士山の絵を描く名人でもあるのです。


らんちゃん ゼロちゃんが いつものように道具の側で寝ていると あっという間に親方の仕事は終わってしまいました。ふたりとも、それだけ眠ってたってことですね。


「一足先に俺は帰るぞ!おまえたちも夕飯までには帰って来いよ」

親方の声が聴こえました。

ふたりが親方の顔を見上げ 続けて道具に目をやると

「あぁ、ちょいと一杯ひっかけてから帰るからよ。明日の朝にでも取りに来るから大丈夫」

ふたりはそろって 「うん!わかったよ!」と言いましたが 人間には「ニャー」としか聞こえません。

それでも親方は 「いい子だな!後はよろしく頼むよ」と言い残して帰って行きました。





「ゼロちゃん!今回の親方の富士山だけどさ、ちょっと淋しいと思わない?」

らんちゃんが言いました。

「そうかな?」

「そうよ!富士山も空も青々しててキレイだけど、なんか・・・こう・・・緑が少なくて淋しいじゃないの」

「そう言われれば、そんな気もするけど」

「でしょう〜〜〜! ねぇ、ここら辺に少しだけタンポポでも描いてみない?そろそろ春なんだし」

「えーーーーーー!!!」

らんちゃんには いつもびっくりさせられることばかり。

が、驚いてるゼロちゃんなんか 全くおかまいなし。らんちゃんは 画面にタンポポを描き始めました。

「ゼロちゃん、どうよ?」

「うん。これなら、ちょっといいかも♪」

「でしょう!でしょう!!!ほら〜」

らんちゃんはゼロちゃんにも 筆とペンキを手渡しました。 





浴槽の向こう側の広い壁に 裾野を広げた立派な富士山が堂々とそびえ立っています。湖の奥に描かれた富士山は天にも届きそうな高さです。ふたりは画面下の方に陸地を描き足し そこへ色々な花を咲かせていきます。

「やっぱり、お花があったほうが春らしくて良いわよね〜!」

「ねぇ、ねぇ、チューリップも描いちゃう?」

かなり盛り上がってるふたり。

次第に陸地部分が多くなり、わけの分からない木まで生やして行きました。

「ねえちゃん・・・普通は松の木だよね?」

「えーーー!そんなのもう何でも良いじゃ〜〜〜ん!!!」

・・・ねえちゃん、そんなんでいいの?

ゼロちゃん お決まりの台詞が出ました。

「そんなことより雑巾ある?手にペンキが付いちゃった」

「さっきまであったけど、きっと親方が持っていっちゃ・・・ねえちゃん何してるのぉおおお!!!」

見ると らんちゃんの肉球スタンプが画面に。

あはっ!ここで拭いちゃったぁ

「・・・・。」

唖然とするゼロちゃんでしたが こうしてはいられません。この銭湯には あたるという猫がいるのです。

「ねえちゃん、いくらなんでも、これはちょっとマズいんじゃない?ちょっと、あたるの様子を見て来るよ」

そう言うゼロちゃんに

「あたるなんて平気だよ!ゼロちゃんが「ごめんね♪」って言えばいいだけのこと」

そうなのです!あたるはゼロちゃんらぶらぶ〜♪の男の子なのです。

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それでもゼロちゃんが様子を見に行くと あたるは相変わらず寝っぱなし。

「ヤツ、まだ寝てたわ。それより ねえちゃん!!!それって梅の花に見えるよ〜!

らんちゃんとゼロちゃん ふたり揃って遠くから絵を眺めると

まさしく 梅の花一輪!!!

わけの分からない木が 梅の木になったじゃありませんか!

「うわ〜!すごい!すごい!梅の花に見える〜!かわいい〜♪」

咲いた!咲いた!梅の花!

もっと咲け!もっと咲け!梅の花!

赤いの 白いの もっと咲け早く!


ふたりは大興奮。

「ねぇ、ねぇ、これってさ、みんなでやった方が もっともっと誰かのためになるよ!」



ゼロちゃんは番台の あたるに 

「ねぇ、ねぇ、暇そうな子たち呼んで来てくれる?」

と声を掛けると あたるは一瞬にしてパチリと目覚め 目をハート形にして外にすっ飛んで行きました。







あたるは ただただ呆然としています。それとは正反に ちょうちんぶるまーずは大騒ぎ。

さて、まずはここで『ちょうちんぶるまーず』の説明をいたしましょう。

ちょうちんぶるまーずとは 下町商店街と その周辺に暮らす猫ちゃんたちのグループです。地域の些細な問題を解決する活動をしています。しかし、その実態は ただの勝手気ままな猫ちゃんの集まりなのであります。





大浴場の四方八方に梅の花が咲き乱れています。

「ガラスにペタペタすると、ステンドグラスみたいでキレイ〜〜♪」

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乾物屋の のりちゃんが言ってます。

牛乳屋の うしおが

「天井までは、やっぱり無理かなぁ?」

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と言うと

「キミみたいなチビちゃんが、どうやったら天井に届くのかなぁ?そんなことよりボクは、ひまわりしか描けないよ」

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花屋の 五歩くんが続けざまに言いました。

「ちっ!」

のりちゃんが五歩に冷たい視線を送りましたが そんなことはおかまいなし

「浴槽にペタペタしたら、花が浮いたように見えるかな? それこそ湯の花!なんちゃって〜!」

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和菓子屋の 福くんは 相変わらずマイペースです。



いつの間にか あたるは番台で寝てしまいました。








「みんな〜!そろそろ終わりで良いんじゃない?もう牛乳にしようよ!」

うしおが声を掛けます。

「イエーイ!!!」

こういうことだけには直ぐに団結。


「みんな用意はいいかい?」

「は〜い!」

「まずは腰に手を当てて!」

「は〜い!」


牛乳のフタをポンポンポン

みんなで牛乳ゴクゴクゴク

同じポーズでゴクゴクゴク

おしゃべりしないでゴクゴクゴク

大きくなろうねゴクゴクゴク



飲み終わると

ぷはぁ〜! 今日のわたしも 頑張りました〜!

らんちゃんの言葉で解散です。








銭湯のはす向かいの質屋には ながれくんという猫ちゃんがいます。

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ながれくんは ちょうちんぶるまーずのライバルグループ にっかぽっかーずのメンバーで あたるとは実の兄弟なのであります。

「お〜い!また何かあったのか?」

ながれくんが入って行くと まだ あたるは寝ていました。

「あたる!!!おまえ また番台に魂吸い取られてんのかよ!!!」

その大きな声に

「あぁ、兄ちゃん・・・どうかした?」

寝ぼけながら あたるが返事をしました。

「さっき ちょうちんぶるまーずのやつらが楽しそうに おまえの所から出て来るのが見えたから ちょっと心配になって来てみたんだ」

その言葉で あたるにやっと魂が戻りました。

兄ちゃん!大変なんだよ!!!



ふたりが富士山の絵を見に行くと 目が回るほどの肉球スタンプ。もはや梅の花どころの騒ぎじゃありません。

「・・・こ・・・これは」

多少のことじゃ動じない ながれくんも 唖然・呆然・固まってしまいました。

「兄ちゃん!兄ちゃん!どうしよう????」

その声に 我に返った ながれくん

「あたる!そのブルマー ちゃんと元の長さに戻せ!」

そう言いました。


実は あたるはゼロちゃんが好きで好きでたまらないあまり 隠れにっかぽっかーずになってしまったのです。
言い換えると ちょうちんぶるまーずのフリをしているのです。


「あたる!みんなを呼んで来い!」

ながれくんが叫びました。

「うん。兄ちゃん、分かったよ」








直に にっかぽっかーずが集合しました。

「うわ〜!なにこれ、ひどすぎぃ〜!」

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魚屋の 鯖美が言いました。

「これは地獄絵図?」

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総菜屋の メンチくんが言いました。

その言葉に

「だとしたら、これは三途の川で・・・でも花畑あるし・・・もしや天国?」

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床屋の パンチくんが言いました。

「けっ!」

メンチくんが パンチくんをジロリと睨みました。

そして

「はぁ・・・今度は、これかい!!!」

みんなが揃って言いました。


ちょうちんぶるまーずの「誰かのため」は にっかぽっかーずの「悩みのタネ」なのです。





それからは本当に大変でした。

「よ〜し!今日も気合い入れて行くぞ〜〜!」

「おお!」

「四の五の言わず体を動かすぜ!」

「おお!」

「われら  にっかぽっかーず!!!」

「うぉおおおお〜〜〜!」


ブラシ片手に ゴシゴシゴシ。

スプレー片手に シュッシュッシュ。

へらを片手に ゴリゴリゴリ。

モップを両手に キュッキュッキュ。

滑って転んで いたたたたぁ。



もうみんなクタクタです。





朝になり 看板屋の親方が 道具を取りにやって来ました。自分の描いた絵を見てハッ!としています。


その様子を影から見ている にっかぽっかーず。


らんちゃんと ゼロちゃんも 少し遅れてやって来ました。


肉球で梅の花を表現するなんて、さすが!三池らんゼロだ!

親方が そう言いながら ふたりを やさしくやさしく撫でました。

らんちゃんと ぜろちゃんは うれしくて喉をゴロゴロと鳴らしました。その音は 富士山にこだまするかのように何度も繰り返し 大浴場に それはそれは大きく響き渡りました。


ここで 内緒の話です。

うそのようですが らんちゃんも ゼロちゃんも 昨日のことを全く憶えていません。次の日になったら忘れちゃう それも ちょうちんぶるまーず そのものなのです。



にっかぽっかーずの誰かが

「くぅううう・・・あいつら、まただよぉ」

と言いましたが その声をかき消すように 次々と人が集まって来ました。


のぼせ湯 そろそろ朝風呂の時間です


にっかぽっかーずとは ガテン系 善の秘密結社。どんなに誰かの役に立とうとも その正体を決して証してはいけない そういう決まりがあるのです。今日も空しく ひたすら悔し涙を堪えるのでありました。

さあ、帰って寝るとすっか!

ようやっと解散の合図です。



それにしても ちょうちんぶるまーず 恐るべし!



みんな〜! 今日は どんなお仕事が待ってるかしらね?うふふ〜♪


おしまい。



posted by ひろりん at 17:35| Comment(6) | ちょうちんぶるまーず | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする
この記事へのコメント
まさか!彼らが善の秘密結社だったとは!
ちょうちんぶるまーずがこれからどんな事を
やらかすのか、とても楽しみ。
私としては、福くんとパンチの見た目に惹かれます。
彼らが活躍する時はあるのか???笑
とても楽しく読ませていただきました!

親方は人間って設定??
だとしたら、それぞれのお店のご主人様は
人間?

またお話ができたら載せてね〜。


Posted by だありん at 2016年02月02日 15:07
来てみたら
すごいことになっちゃってるね。
私的にツボなキャラが数人!
この先楽しみだわ。
Posted by みかえる♪ at 2016年02月02日 17:03
だありんさん

読んでくれて、どうもありがとう〜!感謝でござる。

にっかぽっかーずが悪者だと思ってたでしょ?ふふふ、そうはいかないのさ。えっ?
パンチは床屋のバーバーで馬場。気づいた?福くん、わたしも気に入ってるけど、
描く度に顔が変わる情けなさでございます。活躍させますよ、きっと。


親方は人間って設定。これからも人間は出て来るけど、ニャーとしか聞こえないの。
また神様やって来たら作るよ〜!


みかえるさん

すごいことになってる?数年ぶりで神様いらっしゃったのですのよ。
人生経験が増えると、「いる!いる!こういうやつ」って感じでしょ?
ツボってくださいませ。張り合い出ますわ〜!

Posted by ひろりん at 2016年02月02日 22:33
可愛いお話だね〜♪
頭の中で情景が流れるよ。
富士山の裾野にたんぽぽ。
増えていく梅の花。
アニメのように動いてみえるよ。
ニッカポッカーズ
隠れちょうちんぶるまには笑った。
かなりモッコリしちゃうね。

主人公が代わるとまた違う目線の
お話が出てくるね♪
総菜屋のメンチ君ちは
下町の美味しいお店なんだろうなぁ
うしお君ちは三角乗りのできる
自転車でガチャガチャ木箱で
配達してそう。

読んでいて、いっぱいいっぱい
想像できて楽しかったです♪
またのお話を待ってます(^o^)/
Posted by なごる at 2016年02月03日 21:43
ごめんなさい。隠れてたのはにっかぽっかだった(^^;)



Posted by なごる at 2016年02月03日 21:49
情景が流れるなんて、もう最高の褒め言葉だよ〜!ありがとう!!!
にっかぽっかの裾を、手繰り上げてたら、相当もっこりだよねぇ。

その、にっかぽっか、ニャゴルさんのアイデアで、女の子のには柄入れてみたよ。
まずは、鯖美ね。青魚だから青い服にしてみた・・・えっ?

お総菜屋、木箱乗せた自転車・・・そう!そう!描いてるのは昭和の雰囲気なのよ。
伝わって嬉しいよ。次の話の前に、ちょいと挿絵みたいなの描いてみるね。

Posted by ひろりん at 2016年02月04日 15:14
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